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よくある質問

健康診断で、血糖値は正常なのに糖尿病予備軍といわれました。なぜですか?

通常健診で採血をする場合、空腹時にすることが多いと思います。糖尿病予備軍や軽症糖尿病の人は、空腹時血糖は健常者とさほど変わらないのですが、食後のみ血糖値が上昇します。健常者でも食後は血糖が上昇しますが、せいぜい140mg/dl止まりで、予備軍や軽症糖尿病の人では180~200mg/dl位まで上昇し、血糖の変動の幅が大きいのです。(※1)そこで血糖値の約1~2カ月の平均値を見る検査HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定することによって予備軍かどうかを判定します。

例え、空腹時血糖が低くても、HbA1cが高めなら(5.5%以上)、平均血糖値が高い、つまり食後高血糖の疑い(境界型糖尿病)があるということになります。(※1)

喉の渇きと倦怠感で受診したところ、血糖値300以上で糖尿病と診断されました。治療を開始してから喉の渇きも無くなり体調も良いのですが、まだ通院しなければなりませんか?

糖尿病は、基本的には自覚症状は無いといっても過言ではありません。逆に、口渇、多飲、多尿、全身倦怠、体重減少などの症状は、かなり長期間高血糖を放置していないと出てこない症状です。
合併症も同様で、初診時、すでに神経障害や眼底出血があっても自覚していない場合が多いです。
治療を開始すれば、自覚症状はわりと短期間で消えますが、それでも血糖は高いのです。決して自己判断で治療を中止してはいけません。糖尿病は、自覚症状ないのでついつい気が緩みがちになりますが、定期的通院で血糖コントロールのチェックと年1回の合併症チェックが必要です。

糖尿病の薬を何種類か飲んでいますが、それぞれ働きが違うのでしょうか?

糖尿病の内服薬には、
1膵臓からインスリンを分泌させる薬(オイグルコン、ダオニール、アマリール、ファスティック、グルファスト)
2腸から糖の吸収を遅らせる薬(ベイスン、グルコバイ、セイブル)
3インスリン働きを改善する薬(アクトス、メルビンなど)に分けることができます。
1はさらに、a SU剤(オイグルコン、ダオニール、アマリールなど)b グリニド系(ファスティック、グルファスト)に分けられます。aは強力にインスリン分泌を促進する薬で、bは食事を摂った時だけ出るインスリン(追加分泌)を素早く分泌させる薬です。bは食事直前に飲まないと作用が発揮できないので、飲み忘れて食後に飲んでもほとんど作用はありません。
2は、糖質の多い食事でより作用を発揮します。飲み忘れた場合、食後に飲んでも作用はありません。
3は筋肉や肝臓でインスリンの働きをよくする薬です。糖尿病の人は、インスリン分泌は保たれていても筋・肝でインスリンの作用が発揮されにくくなっています(インスリン抵抗性)。インスリン抵抗性を改善し筋・肝での糖の取り込みをよくします。

一度インスリンを始めるとずっと続けなければいけないのでしょうか?

糖尿病のタイプは、1型と2型糖尿病に大きく分けることができます。
1型糖尿病は、インスリンを作ることができない糖尿病なので、生存のためにはインスリン注射が不可欠です。
2型糖尿病は、インスリン分泌能力が少なかったり、食後のインスリン分泌が遅れたりする遺伝的な体質に、生活習慣が加わって発症し、ほとんどの糖尿病がこのタイプです。
高血糖のため筋肉や肝臓でのインスリン作用が弱まったり、高血糖状態が膵臓の重しとなってインスリン分泌脳が低下した状態を“ブドウ糖毒性”といいます。最近では、このブドウ糖毒性を早く解除するために初めからインスリン療法を行うことも多くあります。ブドウ糖毒性が解除され、筋肉や肝臓でインスリンの感受性が改善され、さらに膵臓からのインスリン分泌が復活すれば、インスリン治療は必要なくなることがほとんどです。
長い間糖尿病を放置していたり、内服薬でコントロールできないにもかかわらず、いつまでも内服薬に頼っていると、インスリンを始めた場合ずっと続けなければならないこともあります。

インスリン注射の時は必ず消毒が必要でしょうか?

2020年現在、日本では大多数の医療機関でインスリン注射や血糖測定の際、注射部位のアルコール消毒を強制していると思われます。
しかし欧米では、インスリン注射や自己測定の時の消毒は一般には行われていません。インスリン注射などはシャツやズボンの上から打っている人もいるほどです。
また、針の毎回の交換も必要ありません。針が曲がったり注射時に痛みが出てきたら交換してください。

インスリン注射前に血糖自己測定をしていますが、血糖値が低い時にインスリンを減らしたり、高いときに増やしたり自己調節しても良いものでしょうか?

インスリン量の調節においては、“責任インスリン“の考え方が必要です。
食事や運動量が普段と変わらなければ、測定した血糖は、その前に打ったインスリンの作用が影響しています。このように血糖値に影響を与えているインスリンを“責任インスリン”といいます。
例えば、夕食前の血糖が170mg/dlとすると、強化療法を行っている人では昼食前の(超)速効型インスリンが、2回打ちの人では朝食前の混合型インスリン量が影響しているといえます(責任インスリン)。ですから、夕食前の血糖を下げるのであれば、強化療法では昼食前、2回法であれば朝食前のインスリンを増やす、というようにインスリンを調節します。その際、血糖ノートに打ったインスリンの単位数を記録しておくことが大切です。
スライディングスケール法で、そのときの血糖値によってインスリン量を調節してしまうと、コントロールは後追いとなり、さらに悪化してしまうことになりかねません。

血糖自己測定はいつ行えばよいのでしょうか?

インスリン療法を行っている人は、注射前に測定するように指導を受けていると思いますが、毎日同じ時間で測定していると、得られる情報は限られてしまいます。
食前血糖値が正常でも、食後に血糖は上がりますので、食後1.5~2時間でも測ってみることが大事です。
血糖値に変動があった時、その血糖に影響するでき事があれば記録しておきましょう。
さらに、測定前に自分の血糖値を予測してみましょう。実測値と予測値の差が少なくなれば、毎日計る必要はありません。

接待や付き合いで飲酒の機会が多いのですが、お酒を飲んだらご飯を減らせば良いですか?また、日本酒より焼酎の方が良いというのは本当ですか?

アルコールは1g当たり7kcalのエネルギーがありますが、“空のエネルギー“といわれ、他の栄養素とは交換できません。
また、血糖降下剤やインスリンを打っている場合は、糖質を減らすと低血糖になる可能性もありますので、ある程度糖質は摂らないといけません。
アルコールは、日本酒でも焼酎でもウイスキーでも種類を問わず、1g当たり7kcalと高カロリーなので、糖尿病に良いアルコールは存在しません。
参考までに、80kcal相当量は、ビール200ml,日本酒70ml、ウイスキー(ブランデー)30ml、焼酎40ml、ワイン100mlです。

清涼飲料水でカロリーゼロの物ならいくら飲んでも良いですか?

“カロリーゼロ”と“ノンカロリー”は同じですが、100ml当たり5kcal未満ということで、厳密にはゼロカロリーではありません。
また、“カロリーオフ”とは、100ml当たり20kcal以下を表しています。(※飲料以外の場合:100g当たり40kcal以下)
いくら“カロリーゼロ”と表示してあっても、飲み過ぎれば血糖の上昇につながります。

テレビのCMで「血糖値の気になる方へ」という健康茶の広告を見ますが、飲み続けると本当に血糖は下がるのですか?

特定保健用食品で「難消化デキストリン」を配合したお茶があります。健常者を対象にしたデータで食後血糖値および血中インスリン値の上昇を穏やかにするとされていますが、あくまでも糖尿病の一次予防の手段として期待されるというだけで、糖尿病患者さんの食事・運動療法、薬物療法に代わる作用が得られるものではありません。(※1)
許可があると安心や信頼をして使用しまいがちですが、これは糖尿病の治療薬ではありません。
主治医に相談の上、併用することはかまいません。

血糖値かなり高く口渇や倦怠感が強いのですが、運動しても良いのでしょうか?

普通、糖尿病患者さんが運動をすると血糖値が下がりますが、血糖値が高すぎるときの運動は、さらに血糖値が上がりますので、運動は控えます。空腹時血糖250mg/dl以上あるとき、あるいは尿にケトン体が出ているときは、運動を控えましょう。
ケトン体は糖尿病の状態が著しく悪いときに見られます。インスリン作用が不足して血糖値が高いときは、ブドウ糖をエネルギーとして利用できず、代わりに脂肪がエネルギーとして使われます。ケトン体とは脂肪の燃えカスで、これが増えると吐き気や、時には昏睡を起こすこともあります。
また運動を開始するときには、合併症のチェックや心臓機能のチェックをして主治医の指示通り行ってください。

血糖降下剤を飲んでいるのですが、運動しなくてもHbA1cは6%台です。運動をする必要があるのでしょうか?

血糖値が下がるということは、血液中のブドウ糖が筋肉や肝臓で取り込まれて血液中から減るということです。このとき肝臓や筋肉でインスリンが働いて細胞にブドウ糖が取り込まれるのですが、糖尿病の人では、インスリンがうまく働かずいつまでも血中にブドウ糖が漂っているのです。この状態をインスリン抵抗性といいます。
運動をすることは、単にエネルギーを消費して血糖を下げるだけでなく、筋肉での血流をよくしさらに筋肉でのインスリン感受性を改善します。
肝臓では、脂肪肝を改善しそれによりインスリンの感受性も改善します。
運動をあまりせずに薬だけで血糖値を強制的に下げていると、ブドウ糖は筋肉にはあまり取り込まれず、脂肪細胞に取り込まれるようになり、肥満を助長します。肥満は、インスリン抵抗性を増大させ、さらに動脈硬化も引き起こします。

1型糖尿病でインスリン療法をやっています。激しい運動をやっても良いですか?

1型糖尿病だからといって激しいスポーツができないわけではありません。しかし、普段から血糖の変動が大きい方は、運動するとさらに血糖値が乱れることがあるので注意が必要です。
激しい運動をすると、運動中または運動後と就寝後に低血糖を起こすことが多いです。
運動前の血糖が100mg/dl以下のときは1~2単位の捕食をとります。運動中にも血糖を測定し、低い場合は途中で捕食を取りましょう。
運動後も数時間は、肝臓や筋肉でブドウ糖の取り込みが続きますので、就寝前に血糖値を測定し、100mg/dl以下のときは、1~2単位捕食をします。

糖尿病になったら、足が壊疽になったり、失明したり、透析になったりすると聞きました。私もそうなるのでしょうか?

糖尿病には、神経障害・網膜症・腎症という三大合併症があります。
糖尿病になると誰でも必ず三大合併症が出るとは限りません。
これらの合併症が進んでしまう人は、そのほとんどが治療中断者または糖尿病を放置していた人たちです。
定期的通院を欠かさず、HbA1cを6.5%未満に維持することで合併症の出現、および進行を緩和することができます。(※2)

糖尿病の人は、心筋梗塞になっても痛みを感じないそうですが、なぜですか?

心筋を養う冠動脈に詰まりが生じて心筋が虚血状態になると、典型的な胸痛発作が現れますが、糖尿病で自律神経障害があると、その痛みがほとんど現れない無痛性心筋梗塞が多くなります。無痛性心筋梗塞は糖尿病合併症の中でも、大変な合併症です。
糖尿病によって自律神経のうち交感神経が障害されると、痛みが脳に伝わらず、その結果、呼吸困難になって気づいたり、いきなり倒れたりします。
こうした危険性を回避するためには、症状が無くても定期的に心臓の精密検査(心臓超音波、負荷心電図等)を受けて、虚血性心疾患、心不全の早期発見を心がけることです。
また、血糖値だけでなく、コレステロール、血圧、体重の管理、禁煙が大変重要です。

経口血糖降下薬は、どのように選択するのですか

さまざまな経口糖尿病薬が処方されていますが、糖尿病治療の基本は、まず食事・運動療法などの生活習慣の改善です。それでも血糖コントロールが不十分な場合は、それぞれの病態に合った糖尿病治療薬を選択することになります。すなわち、空腹時血糖が高く、肥満があって、インスリン抵抗性が疑われる場合には、ビグアナイド薬(メルビン、グリコランなど)やチアゾリジン薬(アクトス)が有効です。空腹時血糖が高くても、肥満が無く、インスリン抵抗性が見られなく、インスリン分泌不全が疑われる場合には、スルホニル尿素(SU)薬(アマリール、オイグルコン、グリミクロンなど)が有効です。また、食後高血糖が疑われる場合は、α-グルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイなど)や速効型インスリン分泌促進薬(スターシス、グルファストなど)が有効となります。これらの薬剤をその病態に合わせて、単剤あるいは併用で使用します。2型糖尿病の場合、大血管障害(脳卒中、心筋梗塞など)の抑制も考慮して、血糖降下作用に加えて動脈硬化抑制作用のある薬剤の選択が重要です。

    

引用元・参考文献
(※1)日本糖尿病学会 (編・著). 糖尿病治療ガイド2014-2015, 文光堂, 2014
(※2)Diabetes Res Clin Pract. 1995 May;28(2):103-17.